自宅隔離でも高齢者の健康と安全には常に注意
新型コロナウイルス感染症の拡大により外出自粛が要請され、高齢者が自宅に閉じこもるケースが増えています。そうなると注意が必要なのが「転倒」です。
高齢者は筋力などの身体機能が低下しがちであるため、若い人なら気にならないちょっとした段差などでもつまずいて転倒しやすくなります。転倒し、大腿骨などを骨折すると、最悪の場合そのまま寝たきりになって要介護状態になることもあります。
この記事では、高齢者の転倒はなぜ危険なのか、転倒の多い場所、および予防対策をご紹介します。
|高齢者の転倒はなぜ危険?
高齢者は筋力やバランス能力、視力などの身体機能が低下するため、若い人なら問題にもならない低い段差などでもつまずいて、転んでしまいやすくなります。下の図は、東京消防庁が平成30年の1年で、転倒により救急搬送した人の、年齢ごとの人数と人口に占める割合です。
【転倒で救急搬送された高齢者の人数と人口に占める割合】
出典:東京消防庁『救急搬送データから見る高齢者の事故』
この図を見ると、転倒事故を起こした人の人口に占める割合は、年齢が高くなるとともに右肩上がりに増加していることがわかります。
高齢者が転倒すると、負うケガは決して軽いものばかりではありません。下の図は、転倒で救急搬送された高齢者の症状を示したものです。
【転倒で救急搬送された高齢者の症状】
出典:東京消防庁『救急搬送データから見る高齢者の事故』
この図を見ると、約6割は入院の必要がない軽症ではあるものの、約4割は入院の必要がある中等症です。生命の危険がある重症や重篤、および死亡した高齢者も少なからずいます。
高齢者の場合には、転倒で負った症状が生命の危険のない骨折でも、骨折部位が大腿骨であるなどすれば、そのまま寝たきりの要介護状態になってしまうこともあります。若いときとはちがって骨折が治るまでに時間がかかり、安静にしているあいだに筋力などの身体機能が衰えてしまうことがあるからです。
新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛要請で、高齢者が自宅に閉じこもるケースが増えています。自宅で転倒事故を起こさないよう、十分な配慮と予防対策が必要だといえるでしょう。
|以下は大怪我の転倒事例から学ぶ予防策
1) 左手に受話器を持ち、右手には何も持たずふらついて右に倒れ座椅子で顔を打った。
2) トイレに行こうとして、トイレ前にて バランスを崩し転倒した。
3) 椅子に座って洗濯物をたたんでいて、 物をとろうとして上向きに転んだ。
以上はあくまでアドバイスですが、常に気を配ることが大切です。自宅隔離でも高齢者の健康問題への配慮を忘れてはならない!
参照:
1. 高齢者の転倒はなぜ危険?転倒の多い場所を事前に把握して対策しよう
2. 転倒事例を調査した研究者が伝えたい対策とアドバイス